食事をひと口食べたあと、二人とも話さなくなった。何か聞かなければと思うほど、用意した話題が出てこない。デート中の沈黙が気になるときは、相手を楽しませる質問を急いで探す前に、その場で何をしている時間なのかを見てみます。
メニューを読んでいるのか、景色を眺めているのか、さっきの話を考えているのか。沈黙だけで相手の気持ちは決められません。ここでは、話を再開したいときの言い方と、無理に続けない場合の選び方を紹介します。場面と会話はすべて架空の例です。
話題を出す前に、相手が今していることを見る
料理を食べ始めたところなら、まず自分も食事を楽しめます。展示を見ているなら、作品を見る時間を残します。相手が何かに目を向けている間まで、質問で埋める必要はありません。
一方、注文が終わって二人とも手持ち無沙汰なら、今いる場所から話を始められます。「何を聞けば好かれるか」より、自分が気になったものを一つ選びます。窓の外の景色、メニューの名前、店の音楽など、二人が同じ場で確かめられるものが使えます。
この窓際、落ち着きますね。私は初めて来たのですが、こういう静かなお店にはよく来ますか。
この例で相手が「初めてです」と答えたら、それで質問が失敗したわけではありません。「私もです。今日はゆっくり話せる店がよくて選びました」と、自分の話を足せます。答えが短いからといって、すぐ別の質問を重ねなくて大丈夫です。
さっき出た話の、気になった一言に戻る
新しい話題を探す前に、直前の会話を思い返します。「旅行が好き」「最近忙しかった」などの言葉が出ていたら、聞いてみたい部分へ戻れます。ただし、相手が詳しく話したくなさそうだったことを、沈黙を埋めるために掘り返すのは避けます。
さっき、本屋に寄るのが好きだと言っていましたよね。私はつい料理の棚を見てしまうのですが、いつも見に行く棚はありますか。
「なぜ好きなの?」「いつから?」と順番に確認するより、自分の具体例を一つ添えると、相手が話す範囲を選べます。料理の本を読まない相手でも、別の棚について答えられる文面です。
相手が「特に決めていない」と答えたら、「決めずに歩くのも楽しそうですね。私は目的の棚以外をあまり見ていなかったかも」と受け取れます。必ず理由やエピソードを話してもらおうとせず、自分が聞いて感じたことを返してください。
相手に聞く前に、自分の小さな出来事を話す
質問が浮かばないときは、自分の近況を短く話す方法もあります。大きな成功談や面白い失敗談を用意する必要はありません。その日に気づいたことや、最近試したことから始められます。
今朝、久しぶりに朝ごはんを作ったら、思ったより時間がかかりました。平日はいつも簡単に済ませているので、休みの日だけでも作れたらと思っていて。
まずここで一度区切ります。相手が自分の朝の話を始めたら、その話を聞けます。返事がなければ、すぐに「あなたは?」「料理しないんですか?」と答えを求めず、飲み物をひと口飲む間を置けます。
自分が長く話しすぎるのも気になる場合は、聞く・話すのバランスを参考に、相手の話に自分の経験を短くつなぐ練習から始めてみてください。
沈黙が気になることを、軽く伝えてもいい
頭の中で話題を探していて、相手の言葉が耳に入らなくなっているなら、そのことを少しだけ伝える方法があります。「つまらないですよね」と相手の気持ちを代弁したり、「何か話してください」と役割を渡したりせず、自分の状態について話します。
少し緊張していて、何を話そうか考えすぎていました。ゆっくりお茶を飲みながら話せたら嬉しいです。
これを言えば場が必ず和む、というわけではありません。ただ、話さない理由を相手に推測してもらう以外の方法にはなります。相手が「私も緊張しています」と答えたら、「では、ゆっくりでいきましょう」と返すくらいで十分です。
会う前から緊張が強い場合は、初デートで緊張するときの準備で、当日の予定や待ち合わせを簡単にする方法も紹介しています。このページでは、目の前の会話を再開するか、少し休むかを選ぶことに戻りましょう。
返事が短いときは、質問を増やす以外の方法を選ぶ
「そうですね」「特にはないです」という返事が続いても、それだけで退屈していると決めることはできません。食事を楽しんでいるか、疲れていないか、周囲の音で聞き取りにくくないかなど、今の場面で確認できることを考えます。
声が聞こえにくそうな場合
少し周りがにぎやかで、声が聞き取りにくいですね。お店を出たあと、駅まで歩きながら話す形にしましょうか。
移動するなら、相手の帰りの予定や歩ける距離も聞きます。まだよく知らない相手を、静かな場所という理由だけで人気のない場所へ連れていく必要はありません。無理に場所を変えず、今日は短めにする選択もあります。
疲れていそうだと感じた場合
「疲れているでしょう」と決めつけず、「今日はこのあと何時頃まで大丈夫ですか」と予定を聞けます。相手が休みたいと答えたら、その返事を受け取り、話題を追加して引き止めないようにします。
自分ばかり話していて負担を感じる場合
会話を続けるために、ずっと質問を作り続ける必要はありません。相手に答えを求める一問を追加するより、自分も静かに過ごしてみるか、予定していた時間で切り上げられます。二人の会話を一人で完成させようとしなくて大丈夫です。
一緒に見たり選んだりする時間に切り替える
向かい合って話す時間が長くなったら、予定の範囲で、二人が同じものを見る時間に変えてみます。展示を見る、店内の本を選ぶ、歩きながら建物を見る、といった形です。会話を作るために、興味のない予定を足す必要はありません。
せっかくなので、次の展示もゆっくり見てみませんか。私はあの色が気になりました。あとで、気になったものがあれば聞かせてください。
見終わった後に感想を言い合うことも、静かに見て終えることも選べます。「何か感想を言わなければ」と新しい課題を作らず、相手が話し始めたら聞くくらいの余地を残します。
見ているものについて知識がなくても、知っているふりで合わせる必要はありません。共通の趣味がない相手との会話では、詳しさではなく、どこが気になったかから話を広げる例を紹介しています。
帰った後は、沈黙の長さより場面を振り返る
「何回黙ったか」だけを反省材料にせず、どの時間は過ごしやすかったかを考えます。食事中は静かでも落ち着いたのか。質問への返事を急かされて苦しかったのか。自分の話をしたときは、聞いてもらえたと感じたのか。実際のやりとりを一つずつ思い出します。
次も会いたいなら、「今日は窓際でゆっくりお茶ができて楽しかったです」と、実際によかった場面を伝えられます。沈黙があったことを、何度も謝る必要はありません。次回は少し短いお茶にする、会話だけでなく展示を見る時間も作るなど、二人が過ごしやすくなる変更を一つ相談してみてください。
